PMXサーボを使ってみよう 製品解説「多彩な制御モード」

Posted on 2023.10.20 in

 

KONDOの新しいサーボ合ラインアップとして「PMXサーボ」シリーズをリリースしました。これから「PMXサーボを使ってみよう」と題しまして、PMXサーボを利用するための基本情報や、必要な製品、サンプルプログラムなどを解説します。

今回の記事は、PMXサーボの基本情報としまして、制御面の機能についてご紹介します。

 

●PMXサーボ商品ページ

 

■5つの制御モード

PMXサーボは、5つの制御モードを備えています。また、制御モードを組み合わせて使用することも可能です。
まずは、基本的な5つの制御についてご紹介します。

 

・位置制御モード

角度(ポジション)を指定し、目標の角度に向けて出力軸が回転し停止する制御方法です。これは一般的なサーボモータと同様の制御モードです。

PMXサーボは、角度で目標位置を指定することができます。単位は[1/100°]です。例えば、125.5度を指定する場合は12550をサーボに送信します。片側最大320°の範囲で指定することができます。

 

・速度制御モード

軸の回転速度を指定して動作するモードです。位置制御モードと組み合わせていない場合は出力軸が無限回転しますので、車輪やプーリーの動力として使用できます。

PMXの速度制御は速度値で回転速度を指令することができます。単位は[1/10°/S]です。「°/S」とは、1秒間に何度移動できるかを表しています。つまり1000を指定した場合は、1秒間に100°移動する速度になります。

機種の異なるサーボに同じ速度値で指令を出すことができますので、ギヤ比やスペックの異なるサーボであっても、サーボにかかる負荷が同じ場合は同じ速度で回転させることができます。

以下の車輪駆動のロボットは車輪の動力としてサーボを搭載しています。車輪には左右移動もできるメカナムホイールを採用しました。このロボットはデモンストレーション用にギヤ比の異なるサーボを混在して使用しています(PMX-5203 x 3 , PMX-5204 x 1)。通常であれば、回転速度が異なるサーボを使用しているためまっすぐ走ることはできませんが、各サーボが同じ回転数で動作するように指示することができるため、直進、左右移動など指示通り移動することができます。

 

・電流制御、トルク制御モード

指定した電流値、または推定トルク値に従って一定の出力で動作するモードです。位置制御モードと組み合わせていない場合は、サーボの出力軸が無限回転します。電流制御の場合の単位は[mA]、トルク制御の場合は[mN・m]です。

トルク値で指示することにより、異なった機種であっても同じ力で回転させる事ができます。ただし、PMXのトルク制御は電流値から推定トルクを算出して指令値としています。内部にトルクを検出するセンサは搭載していません。そのため、搭載しているモータや機構部品の個体差により出力するトルクと指令値に差が発生する場合があります。

 

・PWMモード

モータの出力を直接指定して動作するモードです。デューティー比-100.00%(CCW)~+100.00%(CW)の範囲で指定することができます。PWMモードを指定した場合は、指定したデューティー比で軸が無限回転します。

 

■制御を組み合わせてより便利に

PMXサーボは、5つの制御モードを組み合わせて使用することができます。これにより、組み込み個所や用途に合わせた幅広いニーズに対応することができます。

■組み合わせ対応表

 

パターン1:位置制御+電流制御

パターン2:位置制御+トルク制御

位置制御に電流制御を組み合わせて動作します。指令値として角度値と電流値をサーボに送信します。単位は単体の制御モードと同じです。

サーボは位置制御と同様に指定された角度で停止しますが、同時に指定された電流値を超えないように動作します。これにより、サーボに負荷がかかりモータの消費電流が増加した場合は、指定した電流値以上にならないようにその場で停止するか、負荷に負けて軸が逆方向に移動するようになります。柔らかい物体を掴む場合など、負荷に対してサーボの制御が必要な場合に便利な制御方法です。パターン2の位置制御+トルク制御も同じ動作をします。

 

パターン3:位置制御+移動時間

移動時間を指定して位置制御を実行できるモードです。移動時間を組み合わせた場合、位置制御は補間制御で動作します。時間を指定した補間制御を加えることにより一定の時間で滑らかに目標位置に移動することができます。補間制御は2種類から選択できます。

・均等補間(ランプ):動作開始から到着まで同じ速度で均一に動作します。

・5次多項式補間:内部で加減速を行い急発進/急停止をせず緩やかな動作をします。

メモリマップの「補間制御軌道生成タイプ指定」を書き換えることで補間制御のモードを指定することができます。

「移動時間」で指定できる時間の単位は「ms(ミリ秒)」です。1000を指定すると、サーボの動き出しから到着まで1000ミリ秒(1秒)で動作します。目的地に近いサーボはゆっくりと、遠いサーボは素早く移動します。移動時間を変更することで、サーボの動作速度を変更することが可能です。

複数個のサーボを同時に制御する場合、移動時間を利用することでサーボが一斉に動作を開始してから目的地に到着までのタイミングを合わせることができます。アームロボットなど複数のサーボが連携して動作する場合に便利です。

 

パターン4:位置制御+電流制御+移動時間

パターン5:位置制御+トルク制御+移動時間

位置制御と電流制御の組み合わせに移動時間を加えて動作します。パターン5のトルク制御との組み合わせでも同じ動作をします。

 

制御モードの指定方法

メモリマップの「制御モード」を書き換えることでPMXサーボの制御モードを指定することができます。指定する制御モードのビットを1にすることで指定できます。

 Bit0:位置制御モード

 Bit1:速度制御モード

 Bit2:電流制御モード

 Bit3:トルク制御モード

 Bit4:PWM制御モード

例えば、位置制御モードのみを指定する場合は、MemWRITEコマンド「制御モード」に0x01を書き込みます。

組合せをする場合は、組み合わせる制御モードのそれぞれのビットを1にします。位置制御+電流制御の場合は0x05を書き込みます。

MemWRITEコマンドとは、メモリマップのRAM領域のデータを書き換えるコマンドです。PMXの各パラメータはメモリマップのアドレスを指定し、データを書き換えることで反映することができます。今回の「制御モード」のほか、PIDの各ゲインや「入力電圧最小値設定」など各制限値の設定を書き換えることが可能です。

 

PMXサーボの制御モードに関する解説は以上です。PMXサーボは、多彩な制御モードを使い分けることにより、用途に合った動作を実行することが可能です。まずはサーボ1つから各制御モードをお試しください。

以降の記事では、サンプルプログラムを例に具体的な制御方法を解説します。PMXサーボは、単純な動作指示だけではなく、現在位置などのフィードバックやリミッタの設定変更、PIDゲインを変更して組み込んだ箇所に最適なパラメータに調整することも可能です。

多機能なPMXサーボをぜひご利用ください!

 

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